何十年も前から変わらなかった住宅ローン選び
住宅ローンの選び方は、これまで大きな進化はしていませんでした。
おおよそ「商品の種類を把握し、金利をよく見て選ぼう」こんな感じです。
これは、おそらく商品性があまり変化しなかったからではないか、と考えています。
ネット等で検索すると、商品性の改定にあわせて住宅ローン選びも少しだけ変化がありました。
商品性の改定 | 選び方の変化 |
借入金額の増加 | 「借り過ぎには注意」 |
借入金額の長期化 | 「返済負担をよく考えて」 |
金利タイプの増加 | 「金利リスクをよく考えて選ぼう」 |
融資率の増加(予算に対するローンの割合) | 「借り過ぎには注意」 |
団信特約の多様化 | 「必要な保障を検討しよう」 |
これらを見ると、選び方が具体的に変化した訳ではないのです。
金融機関は声かけはするけど、どうしたらよいかは教えてくれないからです。
そして次のような流れで住宅ローンを選ぶようです。
- 住宅ローンについて、いくつか商品の候補をあげて調査する
候補は、業者が推薦してくる場合もあれば、自分で調べることもあるでしょう。 - 変動金利、固定金利のどちらを選ぶか検討する
借入れ前は金利上昇リスクを気にして固定金利を検討しているのですが、周りの意見を参考にしつつ、金利が上がらないという予測を採用して変動金利を選ぶ人が多いようです。 - 毎月の返済額を計算し、支払いができそうと考えれば、最終決定をする
毎月返済額が、現在の賃料と変わらなければ安心するようです。
このタイプの選び方では、あまりおおくの商品を調査したり、試算したりしないようです。
選び方の進化の第1段階
現在、住宅ローンは、数万種類あると言われています。
商品を比較して選ぶといっても、2、3種類を比較してどれほどの意味があるのでしょう。
ある販売業者や大手のハウスメーカーの営業マンは、10種類以上の中から選んで提案している、と言っていたましたが、それでも少なすぎると考えます。
今ではコンピューターの進化がめざましく、ビッグデータを活用することで必要な情報を一瞬のうちに取り出すことが可能になりました。
多数ある金融機関や商品の情報の正確なデータベースを作るという課題はありますが、データベースさえ作れれば、比較や並び替えが簡単にできます。
このようなツールの支援もあり、住宅ローンの比較サイトやランキングサイトが数多く誕生しました。
利用者は、住宅ローンを選ぶためのリストを、無料で簡単に入手できるようになったのです。
ただ、残念なことが2つあります。
1つめは「ランキング1位の商品は、誰にとってもベストな商品ではない」ことです。
サイトにのっているランキングの基準には、一定の前提条件があります。その条件があなたの借入希望条件とあっていないかもしれません。
コストに関していえば、借入金額、借入期間、返済タイプなど様々な条件が変われば、最も安い商品はすぐに変わってしまうことを知っておいてください。
ということは、個別条件にあわせてランキング表を作らなければ、その問題は解決されないのです。
2つめは「ランキングの基準が共通ではない」ことです。
現在では各サイトが、思い思いの方法でランキングを作成しています。
それが悪いとまではいいませんが、ランキングの作成基準については、なぜか小さい字であったり、隅の方に書いてあったりします。
そして、見る人が何のランキングであるか理解しないまま利用していることが、とても残念です。
これは、何を以てよい住宅ローンであると判断をするのか、合意がなされていないために起こってしまいます。
よって、あなたが納得する基準を採用したランキングを見ればよいのです。
選び方の進化の第2段階
住宅ローンランキングは、金利が安いとか、コストが安い、などのように計算ができるものを順位をつけるのが得意です。
しかし、それは前提条件が同じものであることが前提です。
それが前提条件が異なるものを比較するのは、また別の考え方が必要となります。
多くの住宅ローンのランキングサイトを見ればわかりますが、それらのランキングには致命的な弱点があります。
それは、変動金利と固定金利など、金利リスクが異なるものは、ランキング表を別にしていて、どちらがよいか、判断していないのです。
おそらく、今、利用者が最も知りたいのが、変動金利と固定金利どちらを選ぶべきか、ということではないでしょうか。しかし、ランキングはその問いに答えることはありません。
そのために考えられたのが、リスク・マネージメントの観点で、住宅ローンを選択する方法です。
金利リスクのある変動金利・固定金利の一部と、金利リスクのない全期間固定金利があります。
これを、コストの観点からだけで選択しようとすることに無理があるのです。
従って、住宅ローンを利用するあなたが、リスクをとれるのか、そしてとりたいのかを確認します。
リスクがとれるとしたら、あなたの家計でとれるリスクの範囲内におさまるような商品を選ぶというものです。
そのため、リスクシナリオをたてて、金利が変動した場合でも、将来の家計において問題が起きないかを確認し、問題があれば不採用、問題がなければ商品を採用、という選択をすることです。
住宅ローン・ランキングのリストの上位から、チェックを入れれば効率的でしょう。
この2段階のステップで、コストが安くてリスクが適切に回避された住宅ローンを選べるのです。
その商品こそ、あたなにとってのベスト住宅ローンと呼ぶにふさわしいと考えています。