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DH住宅ローン指数について

住宅ローン金利は、数多くの銀行が独自に設定します。もしかすると銀行ごとに違いがないと誤解されている方もいるかもしれませんが、調べていただけるとわかると思います。

銀行ごとに、金利はかなりの違いがあります。
それは、1,300社も超えるという住宅ローン取扱金融機関数を考えれば当然だと言えます。

住宅ローンは、すべてで数万種類を超える商品があると言われていて、それぞれが独自の動きをしているため、全体的にどのような動きをしているのか把握するのが困難な状況になっています。

すべての商品を情報収集するのは不可能であるため、主要と考える金融機関の金利の動きを示す指数を作成することとしました。作成は、ダイヤモンド不動産研究所とホームローンドクターが共同で行い、「DH住宅ローン指数」として公表させていただくこととなりました。

住宅ローン金利は、金融機関がその時点で利用できる金利を、自身のホームページに掲載しています。また、いくつもの情報サイトが住宅ローンを取り扱うようになり、複数の金融機関の金利情報をまとめて金利を見ることができるようになりました。中には、300社超えるデータを掲載するサイトがあったり、過去のデータもあわせて掲載するサイトもあったりして、住宅ローン金利にアクセスするための環境は、徐々に整ってきています。

ただ、まとめサイトが取り扱う住宅ローンの情報は、そのほとんどが必要なデータの一部だけしか掲載されていません。もちろん、情報の一部だけであっても確認できるだけで有益なのですが、比較するためのデータとしては不適切だと考えます。それは、住宅ローンのコストが、金利だけでなく借入にかかる諸費用とともに構成されているからです。

その重要性は、規制当局も認識しています。例えば、貸金業法では、顧客に金利を提示する場合、表面金利だけではなく「実質金利」を提示することを義務づけています。「実質金利」とは、住宅ローンを借りるにあたって発生する費用を金利換算し、表面金利に加算したものです。米国においても、APRという日本における実質金利に相当する金利の表示が義務付けられています。

こうした事情を踏まえ、本指数の基礎データはAPRを採用しています。
APRの計算方法は、住宅金融支援機構が発表している計算方法に準拠しています。
https://www.simulation.jhf.go.jp/type/simulation/common/APRSetumei.html

金利タイプの推移を見れば、以下の傾向が観察できるでしょう。
【変動金利】緩やかに金利が低下を続けている
【10年固定】2021年ごろから金利上昇が始まった、しかし一方的な上昇ではない
【全期間固定】2019年に底打ちして金利上昇が始まり、2021年から急速に上昇しているが、一方的な上昇ではない

金利タイプごとの金利の動きの違いが、将来の金利の動向も指し示すこともあります。

1. DH住宅ローン指数の金利タイプ

DH住宅ローン指数は、3つの金利タイプにより構成されています。
「変動金利」「10年固定」「全期間固定金利」
ちなみに全期間固定金利には、フラット35が含まれています。
他にも金利タイプはありますが、金融機関が採用している数や、取引が集中している等の理由からこの3つを選びました。

異なる金利タイプの指数の時系列変化の違いを見ることで、金利だけでなく、金融機関のスタンス、景気動向などの変化を読み取ることができるでしょう。

2. 金融機関について

対象とする金融機関は、原則、全国区で利用できる金融機関としています。必ず日本のどこでも利用できることを条件としている訳ではありませんが、地方銀行やその他の金融機関は地域が限られていることが多いため、対象から外しています。

また、金融機関はセクターとして「大手銀行」「ネット系」「その他」の3つノセクターに分類しています。

「大手銀行」は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行です。

「ネット系」は、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行(旧じぶん銀行)、イオン銀行、SBI新生銀行(旧:新生銀行)です。
イオン銀行やSBI新生銀行などはネット銀行ではありませんが、住宅ローンの取り組み方や、商品設計が既存の金融機関とは異なっているため、ネット系に分類しています。

「その他」は、ARUHI、優良住宅ローンなどで、フラット35を主に取り扱う金融機関(モーゲージバンク)となっています。

これらの金融機関のセクターごとに、金利の動きがやや似通っているため分類していますが、指数化するかどうかは、現在検討中です。

3. 金利の計算の根拠等

基礎データとするAPRの計算の前提条件として、借入金額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、普通団信適用としています。諸費用については、融資手数料、保証料、団体信用生命保険料を対象としています。

まず、各銀行の金利タイプごとに、手数料タイプ(事務手数料型、保証料前払型、保証料後払型)、優遇タイプ(当初期間優遇型、全期間優遇型)の組み合わせに対して(最大6種類)、最もAPRが低いものを計算対象としています。例えば、ソニー銀行の変動金利には、手数料タイプは事務手数料型のみで、優遇タイプは当初期間優遇型と全期間優遇型の2種類です。従って、「事務手数料型、当初期間優遇型」と「事務手数料型、全期間優遇型」のどちらかAPRが低い方の1つだけを、ソニー銀行の変動金利として採用しています。

ただし、優遇適用によりAPRが低い場合、その優遇の条件が弊社が考える一般的な基準を超えていれば(例えば、自己資金50%以上とか、ZEH住宅である等)、その金利は採用しません。ちなみに一般的な基準を公表する予定はありません。

金融機関名金融機関セクター金利タイプ商品名
みずほ銀行大手行変動金利
10年固定
全期間固定
みずほネット住宅ローン
みずほ住宅ローン
フラット35(機構買取型)
三菱UFJ銀行大手行変動金利
10年固定
全期間固定
住宅ローン
三井住友銀行大手行変動金利
10年固定
全期間固定
WEB申込専用住宅ローン
フラット35(機構買取型)
りそな銀行大手行変動金利
10年固定
全期間固定
りそな住宅ローン
フラット35(機構買取型)
三菱UFJ信託銀行大手行変動金利
10年固定
全期間固定
三菱UFJネット住宅ローン
三井住友信託銀行大手行変動金利
10年固定
全期間固定
住宅ローン<住まいのアシスト>
フラット35(機構買取型)
PayPay銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
住宅ローン
ソニー銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
住宅ローン
変動セレクト住宅ローン
固定セレクト住宅ローン
楽天銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
楽天銀行住宅ローン(金利選択型)
フラット35(機構買取型)
住信SBIネット銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
住宅ローンWEB申込コース*
フラット35(機構買取型)
フラット35(保証型)
auじぶん銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
住宅ローン
イオン銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
イオン銀行住宅ローン
フラット35(機構買取型)
SBI新生銀行ネット系変動金利
10年固定
全期間固定
パワースマート住宅ローン
ARUHIその他全期間固定フラット35(機構買取型)
スーパーフラット
優良住宅ローンその他全期間固定フラット35(機構買取型)

4. DH住宅ローン指数の最新について

最新の住宅ローンの動向等の記事については、ダイヤモンド不動産研究所「金利最前線」にて連載しております。

イールドカーブ分析について

イールドカーブとは、債券の利回り(イールド)を、償還までの期間に応じて線で結びグラフ化(カーブ)したものです。

住宅ローンでいえば、住宅ローンの金利を、固定期間に応じて、線で結んでグラフ化したものとなります。

住宅ローンには、変動金利から全期間固定金利まで、固定期間が異なる金利タイプが複数存在しているため、どの金利タイプを選択すればよいか判断が難しいところです。イールドカーブを分析することで、その判断材料の一つとして利用できると考えています。

住宅ローンのイールドカーブとは

住宅ローンのイールドカーブは、まだ普及していえないでしょう。
その理由は、イールドカーブの作成法と利用法が確立されていないから、と考えています。

まず、住宅ローンのイールドカーブについて、弊社がどのように作成しているかを説明します。

まずは、縦軸となるイールドについてです。債券の場合は、最終利回りを利用するのが一般的ですが、住宅ローンの場合、APRが妥当であると考えています。表面金利(住宅ローンの適用金利)を採用しないのは、住宅ローン利用者にとって表面金利は実質的な負担を表さないからです。特に、手数料や団信特約料負担が異なっているにもかかわらず、表面金利だけで比較するのは無理があります。従って、利用者にとっての実質的な負担である、表面金利、固定期間終了後金利、諸費用などの要素がすべてが反映されている指標で比較すべきと考えます。
そして、その条件を満たすAPRが最適だと考えます。

また、対象とされるデータが膨大であるため、弊社がウォッチしている19社に対象を制限しています。19社に選定した理由は、全国区で利用できることを第一条件としました。また、金融機関数を絞るもう一つの理由は、APRを計算する作業が煩雑であるため、対象数を制限する必要があったためです。

最終的に固定期間に相当するイールドとして採用するAPRは、それぞれの固定期間の最安値としています。平均値を採用するという考え方もありますが、各金利タイプにおける標本数にかなりばらつきがあり、また、利用者が知りたいのは最安値であろうという想定から、現時点では最安値を採用しています。

横軸となる固定期間については、半年、1年、2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年、30年、35年の11種類としています。全期間固定は35年として取り扱い、上記以外の固定期間は対象の19社の商品にはないため、採用していません。対象となる金融機関が別の固定期間を追加したら、また、上記固定期間を有する金融機関が1社もなくなれば、原則、それにあわせて変更する予定です。

下記グラフは、

1年固定のAPRがイールドカーブの形状からすると異常値のように見えることでしょう。
この状況は、弊社がイールドカーブを作成し始めた7年前からも、同じ状態が続いています。
1年固定を有している金融機関は少なく、その金融機関のスタンスがそのまま反映されてしまうことが原因なので、今後とも継続される可能性があり、異常値として無視してよいと考えます。

イールドカーブの形状と示す意味

イールドカーブの曲線の形状は、金利の上昇や低下を、市場関係者がどのように予想しているかを教えてくれると言われています。住宅ローンのイールドカーブでも同じと見てよいでしょう。

イールドカーブの形状には、大きく2つのタイプがあり「順イールド」と「逆イールド」があります。

順イールド

イールドカーブは、通常は右肩上がりの形状をしていて、「順イールド」と呼びます。
固定期間が長くなると住宅ローンを返せなくなるリスクが高まるため、固定期間が長くなればなるほど金利が高くなると一般的には考えられています。
下のグラフは、イメージ図であって、実際のイールドカーブではありません。

このタイプのイールドカーブは、経済が成長する景気拡大時(金融緩和)に見られるのが一般的です。
2023年現在、住宅ローンのイールドカーブも順イールドとなっていて、金融緩和の真っただ中であることが確認できます。今後、景気が拡大するかどうかは議論が分かれるところではありますが、景気回復を指し示す指標もあり、その可能性がある限り、順イールドであることは変わらないでしょう。

逆イールド

イールドカーブは右肩下がりとなることがあり、その状態を「逆イールド」と呼びます。
前述の通り、固定期間が長くなると金利が高くなるのが通常ですが、固定期間の短い金利が、固定期間の長い金利を上回るような状態になることがあります。
これは、中央銀行が金融引き締めを行い、政策金利を引き上げることで起こる現象です。
中央銀行は、景気の過熱やインフレを抑制するため、主に政策金利を引き上げたり、供給通貨を減らしたりすることで、経済活動を抑制します。それから景気後退期が始まっていくと考えられ、長期金利は景気の変化を見越して低下していきます。
金融引き締めが起きると、住宅ローン金利は、固定期間が短い金利は、日本銀行の金融政策に強く影響を受けるため、変動金利を中心に固定期間が短い金利が上昇しやすくなります。
下のグラフは、イメージ図であって、実際のイールドカーブではありません。

この状態になると、融資の金利が上昇することで、法人の投資活動や個人消費が縮小し、景気が後退していくことが予想され、金融市場では将来的な金利低下を警戒するようになります。
2023年現在の米国債は、「逆イールド」になっています。物価上昇に対抗するための政策金利引き上げが続き、また金利上昇により米国のリセッション入りが懸念されて長期金利が低下したことにより、短期金利が長期金利を上回る状態になりました。

イールドカーブの変化

イールドカーブは常に変化しています。この傾きのパターンは、景気の動向によって共通のパターンが見られ、将来の金利や経済の見通しを示していると言われています。その代表的なものが「フラット化」「スティープ化」です。

フラット化

イールドカーブは、通常右肩上がりになっていますが、その傾きがなくなり平坦化することをフラット化(フラットニング)と呼びます。

景気が拡大から後退に向かう時期によく見られますが、景気が底打ちする時期にも見られます。

急激な経済成長を抑えるために中央銀行が金利を引き上げるときに最もよく見られます。イールドカーブのフラット化とは短期金利が上昇しインフレ期待が高まっていくことで、長期金利が下落して曲線の角度が小さくなることを指します。

グラフは、日本銀行のイールドカーブコントロール(YCC)が導入される直前の2016年8月時点のものです。当時は、同年1月に導入されたマイナス金利政策の影響で、市場関係者が金利の方向観を見失い、10年国債はマイナス金利が常態化していました。住宅ローン金利も、国債金利の低下を受け、変動金利から全期間固定金利が0.5~1.0%の狭い範囲に収まるというフラット化が起きました。翌月、YCCが導入され、10年国債は0%に誘導すると発表されると、10年国債は徐々に上昇をはじめ0%に向けて上昇が始まりました。

これから景気の底打ちの時のフラット化です。ただ、この状態は、景気拡大に向かうサインと見ることもできますが、まだ、景気拡大の足取りはしっかりしたものではない、との見方もあり、拡大が始まったと断定することはできない状態です。

スティープ化

イールドカーブは、曲線の傾きが大きくなることがあり、それをスティープ化(スティープニング)と呼びます。

これは、景気拡大期によく起こります。景気拡大期には、景気の過熱や物価上昇が見込まれ、長期金利が短期金利よりも早いスピードで上昇し、曲線の角度が大きくなります。

日本の住宅ローン金利においても、2019年以降は長期金利を中心に金利の上昇が始まりましたが、短期金利はそれほど変化しませんでした。グラフのように、2022年から2023年にかけて、長期金利だけ上昇し、短期金利はほとんど変化がなかったので、スティープ化が起こりました。

2023年7月現在では、コロナ禍による影響も小さくなり世界的な景気回復の動きがある一方、世界的な物価上昇により多くの国が金融引き締めを行っていてリセッション入りの懸念もあります。これまで金利は上昇してきましたが、最近では上昇の動きもとまっています。これから更なるスティープ化があるかどうかは、不透明です。

住宅ローンのイールドカーブの具体的な利用方法

日本における住宅ローンのイールドカーブで、債券のイールドカーブのように、景気や金利動向を予想するのに利用できるだけではなく、弊社では固定期間の割安性が計れると考えています。
下記のグラフを見てください。

グラフ1

変動金利から全期間固定金利まで補助線を引くことで、当該期間における、固定期間が異なる金利タイプの割安・割高が一目瞭然になります。補助線よりも下にあれば割安、補助線よりも上にあれば割高と判断できます。

グラフ1は、2018年4月のイールドカーブです。この時期は「順イールド」で、「フラット化」から「スティープ化」に変化し始めた時のものです。金利がどのように動くか、市場関係者も方向性を見いだせなかったため、毎月傾きが変化していました。
これを見ると、補助線よりも下となっている10年固定は、割安水準であるといえるでしょう。
また、1年固定、15年固定、20年固定、30年固定は、割高になっています。

グラフ2

グラフ2の2023年7月現在では、補助線を下回るような固定期間はありません。
従って、現在、変動金利と全期間固定金利は、他の固定期間に対して割安であるといえます。
10年固定、20年固定は、補助線との乖離幅は大きく、かなり割高になっているようです。

ちなみに、変動金利と全期間固定金利そのものの割安・割高を分析するには、イールドカーブ分析よりも、スプレッド分析の方が適しているでしょう。

日本銀行のイールドカーブコントロールとは

日本銀行のイールドカーブコントロール(YCC)は、2016年9月から導入された日本銀行の金融政策の一つです。
日本国債の最終利回りを残存期間ごとに線で結んだイールドカーブを、日本銀行が望ましいと考える形状に誘導することです。具体的には、「短期政策金利」と、残存期間約10年の国債の(長期)金利の誘導目標を定め、その水準を維持することでイールドカーブ全体を操作しようとして、「長短金利操作」とも呼ばれています。

導入以前は、長期金利の決定は市場に委ねられていましたが、本政策導入以降、長期金利が日本銀行の実質的な管理下に入ったといえそうです。
日本銀行は、2023年7月現在では、10年国債を±0.5%以内に誘導するとしています。もし、10年国債が0.5%を超えそうになったり、超えた場合には、0.5%以内におさえるため、国債を買い入れることで人為的に需給バランスを操作して誘導したい金利水準に押し下げようとします。

現在、同様の金融政策を採用している国はないようで、日本銀行のみが行っている取扱いが難しい金融政策だといられています。それはYCCをやめると金利が急上昇するリスクがあるためで、いつYCCを緩和または解除するのか、そしてそのリスクをどのようにコントロールしていくのか、注目を集めています。

住宅ローン選びの進化が始まった!

何十年も前から変わらなかった住宅ローン選び

住宅ローンの選び方は、これまで大きな進化はしていませんでした。

おおよそ「商品の種類を把握し、金利をよく見て選ぼう」こんな感じです。

これは、おそらく商品性があまり変化しなかったからではないか、と考えています。

ネット等で検索すると、商品性の改定にあわせて住宅ローン選びも少しだけ変化がありました。

商品性の改定選び方の変化
借入金額の増加「借り過ぎには注意」
借入金額の長期化「返済負担をよく考えて」
金利タイプの増加「金利リスクをよく考えて選ぼう」
融資率の増加(予算に対するローンの割合)「借り過ぎには注意」
団信特約の多様化「必要な保障を検討しよう」

これらを見ると、選び方が具体的に変化した訳ではないのです。
金融機関は声かけはするけど、どうしたらよいかは教えてくれないからです。
そして次のような流れで住宅ローンを選ぶようです。

  • 住宅ローンについて、いくつか商品の候補をあげ調査する
    候補は、業者が推薦してくる場合もあれば、自分で調べることもあるでしょう。
  • 変動金利、固定金利のどちらを選ぶか検討する
    借入れ前は金利上昇リスクを気にして固定金利を検討しているのですが、周りの意見を参考にしつつ、金利が上がらないという予測を採用して変動金利を選ぶ人が多いようです。
  • 毎月の返済額を計算し、支払いができそうと考えれば、最終決定をする
    毎月返済額が、現在の賃料と変わらなければ安心するようです。

このタイプの選び方では、あまりおおくの商品を調査したり、試算したりしないようです。

選び方の進化の第1段階

現在、住宅ローンは、数万種類あると言われています。
商品を比較して選ぶといっても、2、3種類を比較してどれほどの意味があるのでしょう。
ある販売業者や大手のハウスメーカーの営業マンは、10種類以上の中から選んで提案している、と言っていたましたが、それでも少なすぎると考えます。

今ではコンピューターの進化がめざましく、ビッグデータを活用することで必要な情報を一瞬のうちに取り出すことが可能になりました。

多数ある金融機関や商品の情報の正確なデータベースを作るという課題はありますが、データベースさえ作れれば、比較や並び替えが簡単にできます。

このようなツールの支援もあり、住宅ローンの比較サイトやランキングサイトが数多く誕生しました。

利用者は、住宅ローンを選ぶためのリストを、無料で簡単に入手できるようになったのです。

ただ、残念なことが2つあります。

1つめは「ランキング1位の商品は、誰にとってもベストな商品ではない」ことです。
サイトにのっているランキングの基準には、一定の前提条件があります。その条件があなたの借入希望条件とあっていないかもしれません。
コストに関していえば、借入金額、借入期間、返済タイプなど様々な条件が変われば、最も安い商品はすぐに変わってしまうことを知っておいてください。

ということは、個別条件にあわせてランキング表を作らなければ、その問題は解決されないのです。

2つめは「ランキングの基準が共通ではない」ことです。

現在では各サイトが、思い思いの方法でランキングを作成しています。
それが悪いとまではいいませんが、ランキングの作成基準については、なぜか小さい字であったり、隅の方に書いてあったりします。
そして、見る人が何のランキングであるか理解しないまま利用していることが、とても残念です。

これは、何を以てよい住宅ローンであると判断をするのか、合意がなされていないために起こってしまいます。

よって、あなたが納得する基準を採用したランキングを見ればよいのです。

選び方の進化の第2段階

住宅ローンランキングは、金利が安いとか、コストが安い、などのように計算ができるものを順位をつけるのが得意です。
しかし、それは前提条件が同じものであることが前提です。
それが前提条件が異なるものを比較するのは、また別の考え方が必要となります。

多くの住宅ローンのランキングサイトを見ればわかりますが、それらのランキングには致命的な弱点があります。
それは、変動金利と固定金利など、金利リスクが異なるものは、ランキング表を別にしていて、どちらがよいか、判断していないのです。

おそらく、今、利用者が最も知りたいのが、変動金利と固定金利どちらを選ぶべきか、ということではないでしょうか。しかし、ランキングはその問いに答えることはありません。

そのために考えられたのが、リスク・マネージメントの観点で、住宅ローンを選択する方法です。

金利リスクのある変動金利・固定金利の一部と、金利リスクのない全期間固定金利があります。
これを、コストの観点からだけで選択しようとすることに無理があるのです。

従って、住宅ローンを利用するあなたが、リスクをとれるのか、そしてとりたいのかを確認します。
リスクがとれるとしたら、あなたの家計でとれるリスクの範囲内におさまるような商品を選ぶというものです。

そのため、リスクシナリオをたてて、金利が変動した場合でも、将来の家計において問題が起きないかを確認し、問題があれば不採用、問題がなければ商品を採用、という選択をすることです。
住宅ローン・ランキングのリストの上位から、チェックを入れれば効率的でしょう。

この2段階のステップで、コストが安くてリスクが適切に回避された住宅ローンを選べるのです。
その商品こそ、あたなにとってのベスト住宅ローンと呼ぶにふさわしいと考えています。